ムスタングスーツ


 正直、日本では知名度の低いムスタングスーツ。私が参加したロシア調査、アメリカ調査では皆さんこれを着用し、アラスカ調査ではこのスーツを持っていないと調査に参加できないとまで言われました。そんな重要なものが、どうして日本では知名度が低いのか・・・。

ここでは、ムスタングスーツについて紹介するとともに、冬場の海の安全について考えてみます。





皆さん着ているのがムスタングスーツ
Alaska Sea Life Center Dr. Russ Andrewからの写真)

ムスタングスーツってなんだろう

ムスタングスーツとは、救命胴衣、防寒、撥水の機能を持ったつなぎの事で、アメリカのムスタング社(同様の商品を出しているスターンズ社も含まれるかも)が製造しているものです。作業時の動きやすさを考慮しながらも、落水時の浮力確保、低体温症抑止に向けた開発がなされています。


どのような機能を持っているか

・救命胴衣

U.S. Coast Guardの認定を受けており、PFDPersonal Floating Device:要するに救命胴衣)のカテゴリーの中でタイプVに区分されています。詳細は下記の「浮力と日本の規格」に記しました。
 首の後ろには袋状のカバーがついており、左肩にあるノズルに空気を吹き込むとこの袋状のカバーが膨らむ仕組みになっています。落水し、仰向け状態で水面に浮かんでいる間、枕となって頭を支えてくれます。



・防寒
 私個人の感想ですが、1月のアラスカの海で使用しましたが文句ありません。普通、着膨れした防寒服の上に合羽、救命胴衣を着るともこもこになってしまいますが、ムスタングスーツ1着でこれらの機能をカバーしているので、大分スリムでいられます。

・防水(陸上)
 ゴム合羽と同様、雨風、波をしのぎ、十分な防水機能があります。私も乗船中にかなりのしぶき、波を頭からかぶりましたが、内部まで水が沁みてくる事はありませんでした。フードがあるのも助かります。

・防水(落水)
 ここで防水を陸上と落水に分けたのは、落水した時に手足、首から水が入ってくる可能性があるためです。手首はネオプレーン素材の生地でできており、マジックテープで締められるようになっていますが水の進入を阻める程ではありません。足は太もも、足首部分にバンドがありますが、落水時には水は入ってくると思われます。ただ、水の出入りは極力押さえられるので、冷たい水が入り続けることはありません。落水して水面に浮かぶ姿勢だと、心臓より上には水は来ないという話も聞いた事があります。



価格はどのくらいか

ムスタング社のものは400$程、スターンズ社のものは300$程です。



浮力と日本の規格

先にムスタングスーツはタイプVに区分されるPFDと紹介しました。ここでアメリカの規格、日本の規格を紹介し、ムスタングスーツが日本の規格の中で使えるものかを検討します。

アメリカのコーストガード(U.S. Coast Guard)が定めたPFDの区分

タイプI
タイプII
タイプIII:    工事中
タイプIV
タイプV






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